- 2019/01/01
- 鍼灸重宝記
鍼灸重宝記
鍼灸重宝記序
夫れ以れば人、此、腔子(胸腔)あるときは即此病あり、百年の光陰誰か恙(つつが)なきの人あらん乎。恙あらば須(すべから)く早計るべし、其計の頼む所也。針灸薬にして而薬餌の及ざる者、鍼灸に因(よ)らずんば争か其危急を救はん也。今之工たる者多は其針灸之通達する所を知ずして而て疾に逢うときは則妄(でたらめ)にこれを治て而て之が効を求也。例ば尚、規矩(きく)を習はずして材椽(たるき)を試み、寸鉄を持ずして闘場に赴きて其利を得んと欲するがごとし。遂に得べからず焉。