- 2020/06/26
- 老子
第五十八 順化
第五十八 順化
其政悶悶、其民醇醇。其政察察、其民缺缺。禍兮福之所倚、福兮禍之所伏。孰知其極。其無正。正復爲奇、善復爲訞。人之迷、其日固久。是以聖人方而不割、廉而不劌、直而不肆、光而不曜。
ゆるやかな統治
統治の府がおおらかに無為であれば、その民は生き生きと暮らす。統治の府が有能で水際立っていれば、民衆は不満たらたらとなる。災禍は幸運への通路であり、そして幸運は災禍の隠れ家である(災禍と幸運はいつも隣り合っている)。誰がその帰趨を知り得ようか。このように、いつも正常な姿のままというものはない。正常な姿は、すぐにでも欺瞞の状態へと逆転するし、良い状態は災いへと転換する。このようにして、人類は長きにわたってさ迷い続けてきたのだ。だから聖人は、自分で真っ直ぐな形(しっかりした原則)を保持しながらも、とげたった形を直し(民の行き過ぎた行為をとがめたて)たりはしないし、己は無欠なままに保っていても、民を(法などで)矯正したりはしないし、己は身を正しながらも、民には高圧的な態度を見せないし、自らの輝きで民を眩惑させるということもない。