- 2020/06/26
- 老子
第五十七 淳風
第五十七 淳風
以正治國、以奇用兵、以無事取天下。吾何以知其然哉。以此。天下多忌諱、而民彌貧。民多利器、國家滋昬。人多伎巧、奇物滋起。法令滋彰、盗賊多有。故聖人云、我無爲而民自化。我好靜而民自正。我無事而民自富。我無欲而民自樸。
統治の業(わざ)
「正道」によって王国を統治する。戦場では意表をつく奇策をもって戦う。無為であることで世界を制覇する。なぜそのことを知るのか。それは、次のことでわかるのだ。すなわち、禁止制約事項が多いほど、民の生活は貧しくなる。武器が鋭利になるほど、国内の混乱は大きくなる。技術が進むほど、狡知にたけた事件が頻発する。法令の数が多くなるほど、盗賊山賊の徒輩がはびこってくる。だから聖人は言う、私が無為なままにあれば、民は自ら進んで自己改革を成し遂げ、私が静謐(せいひつ)なままにあれば、民は自ら進んで襟を正し(正しいことを行い)、私が業務をしないままにあれば、民は進んで自ら富んでいく。私が無欲のままにあれば、民はおのずから素朴で正直になっていく。